「外はカリッと、中はスパイシーでとろけるカレー」。
そんな魅力たっぷりのカレーパンは、
日本中のパン屋やコンビニで親しまれている人気の惣菜パンです。
一口食べれば、パンの香ばしさとカレーの風味が絶妙にマッチし、
ついついクセになる美味しさ。
そんなカレーパンが、
実は日本生まれであることをご存じでしょうか?
この記事では、
カレーパンがいつ・どこで誕生したのかといった起源から、
発祥とされる複数の説、
また現代に見られるバリエーション豊かなカレーパンの種類まで、
幅広く掘り下げてご紹介します。
ちょっとした豆知識としても役立ちますので、
ぜひ最後までお読みください。
カレーパンとはどんなパン?
カレーパンとは、
その名の通りカレーを具に使用した惣菜系のパンのこと。
日本では「揚げたパン」にカレーを包んだものを指す場合が多いですが、
焼いたタイプも同じくカレーパンに分類されます。
中のカレーは、
ビーフカレーやポークカレー、キーマ、グリーンカレーなど多種多様で、
香辛料や具材の違いによって風味が大きく異なります。
また、子どもでも食べやすいマイルドなものから、
本格スパイスを使用した大人向けのものまでラインナップも豊富です。
コンビニやスーパーなどで手軽に買える身近な存在でありながら、
専門店が作る本格的なカレーパンは、
パンフェアなどで行列ができるほどの人気を誇ります。
カレーパンの発祥店はどこ?そのルーツをたどる
カレーパンが初めて世に登場したのは20世紀初頭の日本と言われています。
とはいえ、「どの店が最初に作ったのか」については複数の説があり、
はっきりと断定されてはいません。
以下に代表的な4つの説を紹介します。
東京・江東区「名花堂(現・カトレア)」説
最も有力とされるのが、
東京都江東区にあった「名花堂」というパン屋によるもの。
1927年、同店の二代目店主が、
カレーをパンで包んで油で揚げるという製法を考案し、
「洋食パン」として実用新案に登録した記録が残っています。
この「洋食パン」が後のカレーパンの原型とされ、
現在も「カトレア」という店名で営業を続けており、
「元祖カレーパン」として多くのファンに愛されています。
東京・練馬区「デンマークブロート(現・デンマークベーカリー)」説
もうひとつの説は、
東京都練馬区のパン屋「デンマークブロート」。
こちらでは、カレーをあんぱんのように詰めた「焼きカレーパン」や、
カレーサンドを販売していた時期があったそうです。
しかし、販売当初はあまり売れず、
何度も試行錯誤を重ねた末に、
トンカツのようにパン粉をつけて揚げるという手法に
辿り着いたとされています。
東京・新宿区「中村屋」説
新宿の老舗「中村屋」も、
カレーパン誕生に関わったと言われています。
中村屋の創業者・相馬愛蔵氏は、
インド独立運動家ボースとの交流の中で本格的なインドカレーを学び、
同店で提供していました。
戦争により食材の確保が難しくなったことで、
パン生地とカレーを組み合わせた商品を開発。
それがカレーパンだったという説です。
ただし、他店の影響を受けた可能性もあり、
発祥とは少し異なる見方もあります。
ロシアの「ピロシキ」説
カレーパンのルーツが海外にあるのでは?という見解もあります。
そのひとつが、
ロシアの伝統的な料理「ピロシキ」を元にしたという説です。
ピロシキは、
肉や野菜を包んだパンを揚げて作る料理で、
日本には20世紀初頭に紹介されました。
この調理法をヒントに、
日本人の好みに合うよう中身をカレーに置き換えて作られたのが、
カレーパンの始まりという見方もあります。
多彩に進化するカレーパンの種類
長い歴史を持つカレーパンは、
時代とともに進化を遂げ、
今ではさまざまなスタイルで楽しまれています。
- 揚げカレーパン
カレーパンの代名詞とも言えるのが「揚げカレーパン」。
衣にパン粉をまとわせ、油でこんがりと揚げたこのタイプは、
外はサクサク、中はとろっとしたカレーが魅力。ジューシーでボリュームもあり、
朝食や昼食にもぴったりの一品です。
- 焼きカレーパン
健康志向の高まりと共に人気が高まっているのが「焼きカレーパン」。
揚げずにオーブンで焼き上げるため、
カロリーが比較的低く、油っぽさが苦手な方にも好まれます。中の具材が引き立つ、
軽やかな味わいが魅力です。 - カレーサンド
カレーをサンドイッチスタイルで味わえるのが「カレーサンド」。カレーをパンで挟むだけでなく、
ホットサンドにしたり、チーズや卵を加えたりと、
自由なアレンジが可能。お弁当や軽食としても親しまれています。
- カレーまん
中華まんの技法を応用した「カレーまん」は、
寒い季節の定番。もっちりした生地と熱々のカレー餡の組み合わせは、
一口で体が温まるような満足感があります。レトルトタイプや冷凍食品としても市販されています。
- カレードーナツ
ドーナツ生地とカレーを融合させた「カレードーナツ」は、
甘さ控えめの生地を使用し、
軽やかな口当たりに仕上げられています。リング型にして中にカレーを入れたタイプや、
半分に切って具を挟むタイプなど、見た目も楽しい変わり種です。
まとめ
カレーパンは、
日本人の創意工夫から生まれた、
まさに和洋折衷のグルメ。
日本全国に根付いた惣菜パンの代表格として、
今や老若男女問わず幅広く親しまれています。
その誕生の背景には、
インド料理との出会いや、西洋・ロシア料理からの影響もあり、
多様な文化が溶け込んでいるのが特徴です。
最近では、全国各地でご当地カレーパンのイベントや、
専門店も登場しており、
カレーの種類やパン生地のアレンジを楽しめる機会も増えています。
特にパン屋で手作りされるカレーパンは、具材にこだわり、
焼き立て・揚げたての美味しさを堪能できる点でおすすめです。
スーパーやコンビニの商品だけでなく、
近所のパン屋さんのオリジナルカレーパンにも、
ぜひ注目してみてください。
カレーパンの奥深い世界を楽しむきっかけになるかもしれません。